Nature & People VOL.2

製品の原材料となるハーブや花を育てる生産者はロクシタンにとって大切な存在。
彼らの努力、献身、そして技術なくして高品質な製品をつくり出すことはできません。
ロクシタンは現在、情熱ある生産者と複数年契約を結び、一年を通して彼らに寄り添い共に仕事をしています。
[コラム]Nature & People では、ロクシタンにとって大切な「自然」と「人々」についてお届けします。

NATURE & PEOPLE VOL.2 生産者インタビュー
 
ジェローム・ボエンルさん
JEROME BOENLE
(ラベンダー蒸留者、栽培者)

ジェローム・ボエンルさん

ラベンダー栽培への情熱と家族のストーリー

「私は南フランスのヴァントゥ地方ソー高原で育ちました。ここは他にヴォークリューズ、ドロームおよびアルプ=ド=オート=プロヴァンスの3つにまたがる場所です。私の母方の祖父母は、ヤギのチーズ農場を所有していました。私は当時からこの土地で仕事をしたいと思っており、特に農業機械に興味がありました。16歳の時には農業機械学を勉強しながらラベンダーの収穫を手伝いました。農業機械が大好きだった私は、18歳の時には全ての機械を運転することが出来るようになっていました。
その後私はさらに農業機械についての勉強を続け、国際メーカーでトラクターと農業機械の営業として働き始めました。仕事で様々な場所に出かけ、重要な責任も持っていましたが、私は家族の農場を常に恋しく思っており、故郷に戻りたいという強い思いが常にありました。2007年、私は農場を引き継ぎ、事業の成長をスタートさせました。大きな投資をしてラベンダー植樹を増やしました。当時のラベンダー業界は不況で、義父は私の提案には乗り気でありませんでした。彼は年間200~300キロのラベンダーしか生産していなかったのですが、その生産量では二家族を養うにはリスクがあったので、私たちは思い切った決断をすることにしました。私は農業機械の営業の仕事を辞め、彼と一緒に働きはじめ、そして農場は変わりました。私たちは栽培量を増やし、多くの投資もしました。同時に栽培品種を増やし、雑種や遺伝子組換えのラベンダーも栽培して、農場は大きく成長しました。2015年に兄も加わり、私たちは他の土地も引き継ぎました。2018年の私たちのラベンダー生産高は3.5トンでした。私はこの成長を強く誇りに思っています。
私たちはラベンダーが育つこの地で生活しています。ラベンダーはプロヴァンスの象徴、私が生まれたこの素晴らしい土地、成長するラベンダーに囲まれながら、プロヴァンスのユニークな風景を保ち続けます。もしこの地で野生のラベンダーが育たなければ、誰もこの遠く離れた地を訪問することはなく、私たちの生活も失ってしまうでしょう。」

特別な条件でのファインラベンダーの生育

「ファインラベンダーは標高600~1,700メートルに成長します。私たちの農場は標高1,000m地点に位置し、この環境がラベンダーの成長には最適なのです。台地は山の中に広大に広がっています。ラベンダーは、はじめは人の手で栽培されていましたが、グラース地域の香水の需要の増加に伴い、1970年代に機械化されました。現在、アルビオン高原では家畜飼育は行われていません。どの場所でもラベンダーが栽培されています。ラベンダーはこの乾いた石灰岩からなる土壌の道端でも野生に生息することができるのです。」
PDOラベンダー

温室栽培から蒸留までラベンダー栽培の習得

「私たちの農場はファインPDOラベンダー(保護指定原産地―フランス語では「AOC」)の栽培に特化しています。このタイプのラベンダーは、種子から栽培され、私たちはフランス香水薬用アロマ植物研究所(iteipmai)の認定を受けた種子を発注しています。つまり挿し木から栽培される雑種や遺伝子組換えのラベンダーとは違い、自分たちで苗を成長させているのです。
私たちは農地に苗を植える前に温室でその種を育てます。よって私たちのラベンダーの種がどこから来たのかを十分に把握しています。2018年に私たちは種の発芽からエッセンシャルオイルの蒸留までの全工程を管理するため蒸留所を開設し、そして義父が私にその工程を教えてくれました。彼は以前私たちがラベンダーを持ち込んでいた蒸留所組合に勤務していてとても経験豊富だったのです。彼は2018年収穫のラベンダーを蒸留した当人で、その時に私に蒸留の方法を教えてくれたのです。私は蒸留作業に専念し機械の仕事を離れました。高原の他の生産者たちの蒸留も行い、既に当初の生産目標を超えました。常に改善を行い、出来るだけ高品質のエッセンシャルオイルを作ろうと努力しています。私たちはクラリセージ、タイム、ヒソップ、アスピックラベンダーなど栽培する他の植物からもエッセンシャルオイルを蒸留しています。
私たちは協同組合という形態をとっています。この生産者集団のシステムは非常に効果的だと思います。私たちはすべての収穫をSCA3P組合に持ち込み、そこで全メンバー農家の収穫物が売られます。この組合は私たちを良い時も悪い時も支えてくれます。私たちの組合はPDOラベンダーを専門とし、このPDO品質ラベルに強いこだわりを持っています。
私たちは家族で仕事をし、伝統と情熱を未来の世代に伝え続けたいのです。ラベンダーはただの植物ではなくまた産業でもありません。ラベンダーは、この土地と人々の物語そのものです。この高原でたくましく育つ唯一の植物であり、その植物が野生で育つために私たちがこの土壌にうまく適応させることが重要なのです。」

適切な農業技術

「私たちの農法は昔ながらのやり方で有機農業に影響を受けたものです。体系的な除草は行わず、それぞれの土地によって異なる方法をとります。作物に反発芽処理を行うこともありますが、これはまれなことです。化学物質は高価であり環境に有害なので、機械による除草の方を選びます。すべて雑草を取り除くわけではありません。今はツマグロヨコバイ病を減らすため苗列間の除草をしない方法を試しています。この虫はラベンダーを刺し、1つのラベンダーから別のラベンダーにウイルスをうつします。苗列間の雑草を残すことでツマグロヨコバイがラベンダーからラベンダーに飛ぶのを防ぐ自然の壁を作るのです。
作業削減のためにラベンダー植物の栽培に粘土を使うことを試みましたが、雨期には使用できず導入するのは困難でした。しかし私たちは常に自然環境を改善、保護するための新しい方法を試したいと思っています。ツマグロヨコバイは地面から出てきて、開花時期に飛行を開始します。殺虫剤で殺すこともできますが、ラベンダーの満開時には化学物質を使いたくありません。化学物質はミツバチに有害であるし、咲いているラベンダーを汚染してしまうからです。地元の養蜂家の協力で、私たちは農地の数か所にミツバチの巣を設置しました。
ハチは作物の受粉という基本的な役割を果たしています。ファインラベンダーは異機種混在型から作られ、異なったサイズや色が混ざっているのです。ハチはこのラベンダー種の混合にも一役買っています。このおかげでラベンダーの品質は非常に高いものになるのです。

PDO標準への強いコミットメント

「2009年にSCA3P協同組合の紹介で私はロクシタンと出会いました。ロクシタンは良質のラベンダーを探しており、組合が私と農場を訪問することを提案したのです。ロクシタンはオルファクトリー委員会のメンバーで私たちはこの委員会で一緒に仕事をしています。PDOラベルを与える前に異なるバッチのエッセンシャルオイルの香りをチェックし、ラベルを与える条件に適しているかを担当しています。PDOラベンダーにはふさわしい香りが必要なのです!私はPDOラベンダーの生産者を代表するフランスPDOラベンダー協会の会長でもあります。PDOラベルは、この土地のラベンダー畑と生産者を保護しています。PDO標準はラベンダーを促進し、その自然環境を保護します。エッセンシャルオイルがこのラベルを取得するには、特定の条件を満たす必要があります。プロヴァンス指定地区で一定の標高において特定の収穫方法を採用していることです。これは、オイルの品質に直接影響を与えるものです。またエッセンシャルオイルが解析基準と香りの基準を満たす必要もあります。これが高品質のエッセンシャルオイルを調達できる理由の一つです。私はこのラベルについて情熱を持って提唱することでこの土地とその特異性の保護に積極的に取り組んでいます。」