塩の地 カマグル

エッグ・モルトの町を囲む城壁の裾野に、塩分を含んだ1万ヘクタールもの湿地帯が広がっています。塩田のあるカマルグの風景は2000年前から変わっていません。長い伝統を受け継ぐ塩田職人のリュックさんにお話を伺ってきました。
Angélique

「ご参考までにお教えしましょう。塩田の広さは、パリ市内と同じくらいなんですよ。そして、塩になるまでに、海水のしずく一滴、一滴が60キロほどの旅をする計算になります」と笑みを浮かべながらリュック・ヴェルネスさんが言います。数字の話ならいくつでもできそうです。エッグ・モルトの塩田で働き始めてからもう30年以上になるというリュックさんは塩田のことを熟知しています。

「私がこの仕事を始めたのは17歳の時です。職業学校なんてありませんから先輩から教わるのです」とリュックさんは言います。リュックさんがトラックを堤防に停め、物差しと手作りの試験管(長い木製の棒の先端にプラスチックの配管チューブをつけたもの)を手にしました。

「これで塩分を測ります。濃さによって、塩水の水量を増やしたほうがいいか、減らした方がいいかを判断します」地中海沿岸には、堤防で仕切られ、水路が走る塩田がいくつも続き、年間30万トンもの塩が生産されています。「少しづつ海水が入っていくと、太陽の作用で塩分濃度が高まっていきます。数か月たつとパルテーヌマンと言う底の浅い仕切られた塩田で塩を採取できます」とリュックさんが説明してくれます。塩はまるで白い黄金。汚れのない真っ白な塩は、カメルと呼ばれる美しい丘のような形に積み上げられます。製塩の技法はキリストが生まれた頃から何も変わっていません。すでに古代ローマ時代には、天然資源である塩の開発は始まっていました。古代ローマ軍レギオンの兵士への報酬に「サラリウム」と呼ばれた塩の華が使われていたのです。

リュックさんはトラックに戻り、ルヴァンと呼ばれる大きな貯水池に向かいました。水が赤い色をしているのが不思議です。フルール・ド・セルを作れるかどうかは天気次第。ひと雨降るだけで簡単に流されてしまいます。

「フルール・ド・セルは、夏の終わり頃、一か月かけて採取します。大きなスコップを使い、土手の方へそっとかき集めます。スコップで底のほうをガリガリとこすってしまうと底の方の粗雑な塩が混ざってしまいますので、作業するときは音にも注意を払う必要があります」とリュックさん。

塩田は一般公開されており、四輪駆動車かプチ・トランに乗って見学します。塩田には季節によって200種もの鳥たちがやってきます。一日の終わり、塩田の表面を照らしながら太陽が沈む頃には、静かに水が流れる水路で鴨の一家がはしゃぎ、濃紺となったカマルグの空をピンクのフラミンゴたちが斜めに飛んで行きます。それは、もうすぐ夜になる印。

「水が赤いのは非常に小さな海藻のせいです。私たちの宝とも言っていい塩の華フルール・ド・セルが薄いピンク色をしているのも同じ理由です」と リュックさん。フルール・ド・セルは塩田の表面につく結晶の薄い層。火にかけたミルクのように注意深く見守る必要があります。かつては塩田の持ち主や職人だけが得ることができたフルール・ド・セルですが、30年ほど前から商品化され流通しています。

カマグル
カマグル
塩の山!
DR, José Nicolas
カマルグ
カマルグ
どこまでも続く塩田
DR, José Nicolas

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