地元の石工職人の建てた家

フレデリック・ロッソさんの手によって蘇ったのは17世紀に建てられた羊小屋。3年ほどかけて、石工職人であるロッソさんが廃墟を生涯の家に造り変えました。エコと建築を情熱で結び付けた素晴らしい仕事。
Par Jean-Dominique Dalloz

「この家に住むことを子供の頃から夢見ていたのです」

そう言って、石造りの壁に手をやりつつ、入り口の扉の傍らに立つフレデリック・ロッソさん。

「両親がここからさほど遠くないところに家を買ったので、私たちはよくそこでバカンスを過ごしました。廃墟となった羊小屋の近くを通るたびに、いつか修復したいとずっと思っていたのです」

イタリアのピエモンテ州で代々石工の家系の出身で、彼自身はオバーニュ生まれ。子供の頃からの夢は40年後に花開きました。羊小屋のある土地の所有者の姪と結婚をするという偶然に恵まれ、廃墟と一緒に土地を買い取ったのです。夫妻は2000年に移転し、建物の周りにブドウ畑とオリーブ園を作り始めました。そして石灰・漆喰塗料の講座を受講したことが、ロッソさんに新しい世界を開いてくれました。仕事を始めた時はブロックの置き方やセメントの使い方など一般的な石工の技量だけを学んでいたからです。講座によって新しい知識 を得、建物を見る目も変わり、以来仕事のやり方が根本的に変わったそうです。

クレーンもない、電気も水もないところで、 たった一人でロッソさんは羊小屋の改築に挑みました。石はひとつひとつ漆喰の塗料で塗り固められ、屋根には古い瓦を使い、いくつもの梁で支えました。塗料はルシヨン地方の黄土オークルを利用し、コンクリートはフォルカルキエ村の麻と石灰の一種である消石灰を混ぜたものを使いました。そうして、いくつか小さな開口部が造られた以外は、小屋は何十年も前の姿を取り戻したのです。アルプスのふもとでよく見られる典型的な田舎家で基礎部分は中心に四角い支柱、2階には丸い支柱があるのが特徴。家は羊飼いたちの暮らしぶりを今に残しています。

夏は灼熱の太陽のもと、冬は凍てつくようなミストラルに晒されての仕事は3年がかり、非常に心身を消耗させるものでした。

「カンソンでは、みんな私がおかしくなってしまった、と思ったようです。友人たちは私がそのうちに体を壊してしまうし工事は10年かかる、と言っていました」

とロッソさんが笑います。

「でも、私はやり遂げました。今、出来上がった家を見ていると、最初にこの小屋を作った石工も満足してくれているのではないかと思います。円が一周して完結した感じがします」

カンソン村 地元の石工職人の建てた家
カンソン村 地元の石工職人の建てた家

古いタイル、木製の古い扉、黄色い壁、天井から吊り下げられたカゴ...プロヴァンスのキッチンの典型的なインテリア

www.fredericrosso.fr

José Nicolas
カンソン村 地元の石工職人の建てた家
カンソン村 地元の石工職人の建てた家
ロッソさん宅からは、何にも遮られることのない眺めを楽しむことができます

www.fredericrosso.fr

José Nicolas
カンソン村 地元の石工職人の建てた家
カンソン村 地元の石工職人の建てた家
カラフルに塗られた家具と古い広告で飾られたキッチン

www.fredericrosso.fr

José Nicolas

最新情報

ルーツの味を探る 〜 完璧なプロヴァンススタイルのアペリティフ

ルーツの味を探る 〜 完璧なプロヴァンススタイルのアペリティフ

プロヴァンスの香りいっぱいのアペリティフを楽しみながら、夏の長い夜を過ごすことほどステキなことはありません。ロクシタンからプロヴァンスならではのアペリティフをご紹介します。手で簡単にいただけるおつまみを、親しい友人や家族と一緒にどうぞ。
プロヴァンスでもっとも素敵なルーフトップ

プロヴァンスでもっとも素敵なルーフトップ

夏を満喫するのに理想的なのがルーフトップ。屋上テラスは1日のうち、いつ訪れてもくつろぐことができます。ロクシタンがプロヴァンスでおすすめのスポットをセレクト。これで元気に夏休み明けを迎えることができるはず。
8月のフォト

8月のフォト

18時38分、マントンにて撮影