オリーブの木々に降る永遠の雪 ティネー渓谷

北部はアルプスの天然牧場、南は地中海の風景・・・メルカントゥール国立公園の美しい自然をすべて集めたような風景が楽しめるのがティネー渓谷です。トレッキングシューズのヒモをぎゅっと結んだら、さあ、75キロのハイキングコースへ出発!
Par Jean-Dominique Dalloz

サルソ・モレノ圏谷のふもと、標高2800メートル。私たちの吐く息は、乾いた冷気によって、小さく凍りついた蒸気の雲に変わっていきます。トロワ・ゼヴェック岩やヴォガピークにかかる万年雪も、もうすぐそこ。休憩は水筒からコーヒーを一口飲む間だけの短いもので、すぐにプラ・ダスティエという小さな村に向かって歩き始めました。この何日もかかる長いトレッキングにおいて、私たちを導いてくれるものはただひとつ、ティネ―川だけ。美しい牧草地帯、あるいは時に目も眩むような断崖をえぐるように走る激流です。その流れはあまりに力強く、時に増水して何もかも飲み込んでしまうときもあるほどです。メルカントゥール国立公園にはハイキングをすると楽しい湖がいくつもありますが、それら湖の水が急流となり、ティネー川の水量を増やしているのです。

オート・ティネー地域にはイゾラ村があり、12世紀に建てられた鐘楼サン=ピエール、フレスコ画のある小さな礼拝堂シャペル・サント=アンヌなどの見どころのほか、落差90メートルもある滝、ルーシュ滝があります。滝の豊富な水量は、自然にあふれたこの渓谷においていかに水が潤沢であるかということを今一度思い出させてくれます。もう少し行けば、高台にあるマリー村に着きます。マリー村は聖母マリアの木像で知られています。木像にはオリーブの木が使われており、そのことがこの村が海まで数十キロしか離れていないことを思い出させます。もう少し南に下って、山の稜線に張り付くように家々が建つ中世の村ベロルでも一休みすることにしましょう。村の中を行く小道はそのまま紺碧の空へと向かっていくかのよう。緑青が付き、過ぎ去った数世紀もの歴史を感じさせる石造りの家々はコート・ダジュール地方内陸部でも最も美しい家と言えるでしょう。この山深い場所にある村を出て行こうなどと一度として思ったことのない村人たちは宿を修復し、村近くの放牧地に3軒の民宿をオープンさせています。何日か歩いたあとでは、空気が和らいできたように感じます。空気の匂いも変化し、周辺の松はさらに下ったところで私たちを待ちうける地中海の気候を運んできます。旅は石切り場の下にあるクルベッスで終了します。そこはティネー川がヴァール川と合流するところでもあり、古いバットリー橋がかかっています。その先は車に乗ってニースまで。美味しいレストランで食事をしたら、笑顔と思い出がまじりあったハイキングをまた全部やり直したくなることでしょう。

ティネー渓谷
ティネー渓谷
ルール村の教会
DR, José Nicolas
ティネー渓谷
ティネー渓谷
サン・デスマス・ル・セルヴァージュ村の小教区教会外観
DR, José Nicolas
ティネー渓谷
ティネー渓谷
サン・テティエンヌ・ド・ティネのサン・セバスチャン礼拝堂内部
DR, José Nicolas
ティネー渓谷
ティネー渓谷
サン・ソヴール村の魚の養殖場外観
DR, José Nicolas

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